空き家所有者必見!確定申告で知っておくべき特例と控除のすべて

空き家所有者必見!確定申告で知っておくべき特例と控除
目次

はじめに

確定申告の時期が近づくと、空き家を所有している人にとって「税金を抑える方法はないか?」と考える機会が増えます。実は、空き家に関する特例や控除を活用することで、譲渡所得税や所得税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

本記事では、確定申告で活用できる空き家関連の特例・控除について、最新の税制改正を踏まえながら解説します。申請しないと損をするケースも多いため、特例の適用条件や具体的な手続きについて詳しく見ていきましょう。

この記事でわかること

確定申告をしないとどうなる?

確定申告で適用できる特例を知らないまま申請しないと、以下のような損失が発生する可能性があります。

  • 譲渡所得3,000万円特別控除を適用しないと、多額の税金が発生
  • リフォーム減税を申請しないと、所得税控除を受けられない
  • 賃貸活用時の経費計上をしないと、余分な税負担が発生

適切な確定申告を行うことで、無駄な税金を支払わずに済みます。この記事を参考に、確定申告の準備を進めていきましょう。

確定申告で活用できる特例・控除

確定申告を行うことで、空き家の所有者はさまざまな税制優遇を受けることができます。特に、譲渡所得税の控除、リフォーム減税、賃貸活用時の経費計上といった措置を適用することで、税負担を大幅に軽減することが可能です。

このセクションでは、確定申告で適用できる主な特例と控除について詳しく解説します。

空き家の譲渡所得3,000万円特別控除

空き家を売却した場合、通常はその売却益(譲渡所得)に対して所得税や住民税が課されます。しかし、一定の条件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例が設けられています。

適用期限

  • 2027年12月31日まで延長(令和5年度税制改正)

2024年の改正ポイント

  • 令和6年(2024年)1月1日以降に行う譲渡で、相続人の数が3人以上である場合、特別控除額が2,000万円に引き下げられます

適用条件

  • 相続または遺贈により取得した空き家であること
  • 被相続人(故人)が亡くなる直前まで一人で居住していたこと
  • 昭和56年5月31日以前に建築された住宅であること
  • 相続発生後、売却するまでの間に居住者がいないこと
  • 耐震改修を行うか、更地にして売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 確定申告時に必要書類を提出すること

必要書類

  • 売買契約書の写し
  • 被相続人の住民票除票
  • 登記事項証明書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 耐震改修証明書(耐震改修を行った場合)
  • 取壊し証明書(更地にして売却した場合)

参考リンク

リフォーム減税(耐震・バリアフリー・省エネ改修)

空き家を活用するためにリフォームを行った場合、確定申告でリフォーム費用の一部を所得税の控除として取り戻すことが可能です。

主なリフォーム減税と控除額

  • 耐震改修(昭和56年5月31日以前に建築された住宅)
    • 最大控除額:25万円
    • 適用条件:耐震基準を満たす改修を行うこと
  • バリアフリー改修(高齢者や要介護者が居住)
    • 最大控除額:20万円
    • 適用条件:段差解消・手すり設置・トイレの拡張など
  • 省エネ改修(断熱・高効率給湯設備の導入)
    • 最大控除額:25万円
    • 適用条件:断熱窓の設置や高効率給湯器の設置

必要書類

  • 確定申告書B様式
  • 工事請負契約書の写し
  • 工事完了証明書(リフォーム業者から取得)
  • 領収書の写し

参考リンク

賃貸活用時の経費計上と青色申告

空き家を賃貸として活用すると、不動産所得が発生します。確定申告では、不動産所得に関する経費を計上することで、所得税の負担を軽減することが可能です。

経費として計上できる主な項目

  • 固定資産税
  • 修繕費
  • 管理費
  • 減価償却費
  • 広告費(入居者募集のための費用)
  • 借入金利子(ローンがある場合)

青色申告のメリット

  • 最大65万円の特別控除が適用可能
  • 家族への給与を経費として計上できる
  • 赤字の場合、3年間の繰越控除が可能

確定申告での処理方法

  • 不動産所得の収支内訳書を作成
  • 青色申告決算書を提出(青色申告の場合)
  • 必要経費を証明する領収書を保管

参考リンク

まとめ

  • 空き家を売却する場合は、「譲渡所得3,000万円特別控除」を活用すると大幅な節税が可能
  • リフォーム減税を利用することで、耐震・省エネ・バリアフリー改修の費用を一部控除できる
  • 賃貸活用時には、経費計上や青色申告のメリットを活かすことで、所得税を削減できる

確定申告の際にこれらの特例や控除を正しく適用し、税負担を最小限に抑えましょう。

確定申告の手続きと注意点

確定申告は、税制の特例や控除を適用するために必要な手続きです。特に、空き家の売却やリフォーム減税、賃貸活用を行った場合、適切な申告をしないと税負担が増えてしまう可能性があります。

このセクションでは、確定申告の基本的な流れや注意点を解説し、よくあるミスを防ぐ方法についても詳しく説明します。

確定申告の基本的な流れと期限

確定申告は、前年の1月1日から12月31日までの所得を申告し、必要な税額を納める手続きです。以下の流れで行います。

確定申告の流れ

  1. 申告対象となる所得・控除を確認
    • 空き家の売却(譲渡所得)
    • リフォーム減税(所得控除)
    • 賃貸収入(不動産所得)
  2. 必要書類を準備
    • 売買契約書、領収書、住民票除票など、特例ごとに必要な書類を揃える
  3. 申告書を作成
    • e-Tax(オンライン)または紙の申告書を作成
  4. 申告書を提出
    • e-Taxで電子申告
    • 税務署へ郵送または窓口で提出
  5. 納税または還付を受ける
    • 税額が確定し、納税または還付手続きが行われる

申告期限

  • 毎年2月16日~3月15日
  • e-Taxを利用する場合、一部の申告で期限延長が可能

申告方法

  • e-Tax(電子申告)
    • 24時間受付
    • マイナンバーカードとICカードリーダーが必要
    • 税務署に行かずに申告可能
  • 税務署窓口
    • 直接相談できるが、混雑するため早めの手続きがおすすめ
  • 郵送申請
    • 消印が期限内であれば有効

参考リンク

よくある申告ミスとその対策

確定申告では、ミスがあると控除が適用されず、税負担が増えることがあります。以下のようなミスに注意しましょう。

よくある申告ミス

  • 特例・控除の申請漏れ
    • 例:「譲渡所得3,000万円特別控除」の申請を忘れる
    • 対策:事前に適用できる特例を確認し、申告書に正しく記入する
  • 必要書類の不備
    • 例:「売買契約書の写し」や「住民票除票」の提出忘れ
    • 対策:申告前に必要書類リストを作成し、チェックする
  • 所得の計算ミス
    • 例:譲渡所得の取得費(売却益計算の基礎)を「概算取得費(売却額の5%)」で申告してしまう
    • 対策:可能な限り購入時の契約書や領収書を保管し、正確な取得費を計算する
  • 期限を過ぎてしまう
    • 例:3月15日を過ぎてしまい、無申告加算税が発生
    • 対策:遅くとも1月中に申告準備を開始する

申告しないと損するケース

確定申告をしないと、本来受けられる控除が適用されず、多額の税金を支払うことになる可能性があります。

申告しないと損をする具体例

  1. 空き家を売却したが「譲渡所得3,000万円特別控除」を申請しなかった場合
    • 売却価格:4,000万円
    • 取得費・諸費用:1,000万円
    • 譲渡所得:3,000万円
    • 申告しない場合の税額:約600万円
    • 申告して控除を受けた場合の税額:0円
    • →申告しないことで約600万円の税負担発生
  2. リフォーム減税を適用しなかった場合
    • リフォーム費用:200万円
    • 適用可能な控除額:最大25万円
    • →申告しないことで25万円分の所得税還付を逃す
  3. 賃貸活用時に経費計上をしなかった場合
    • 年間家賃収入:120万円
    • 計上できる経費:50万円(固定資産税・修繕費・管理費)
    • 申告しない場合の税額:約24万円
    • 申告して経費計上した場合の税額:約9万円
    • →申告しないことで15万円の余分な税金発生

税理士に相談するメリットと適切な相談時期

税制は毎年変更があり、申告のミスがあると控除を受けられなかったり、過剰な税負担が発生したりする可能性があります。専門家に相談することで、適切な節税対策を行い、申告をスムーズに進めることができます。

税理士に相談するメリット

  • 特例や控除を適切に適用できる
  • 計算ミスや申告漏れを防げる
  • 時間の節約になる
  • 過去の申告ミスも修正できる

税理士に相談するタイミング

  • 空き家を売却する前(譲渡所得控除の適用条件を確認)
  • リフォームを行う前(適用できる減税制度の確認)
  • 確定申告の準備を始める12月〜1月(早めの相談で余裕を持って手続き)

参考リンク

まとめ

  • 確定申告の期限は毎年2月16日~3月15日。e-Taxを利用すれば一部期限延長も可能。
  • 申請漏れや計算ミスを防ぐため、事前に書類リストを作成することが重要。
  • 確定申告をしないと、特例や控除を受けられず、数十万円〜数百万円の損失になる可能性がある。
  • 税理士に相談すると、適用できる控除を最大限活用でき、申告ミスも防げる。

確定申告は、空き家の所有者にとって節税の大きなチャンスです。早めに準備を進め、確実に申告しましょう。

補足情報(固定資産税の軽減措置・相続した空き家の特例)

確定申告で適用できる特例とは別に、空き家の所有者が知っておくべき税制措置がいくつかあります。特に、固定資産税の軽減措置や相続した空き家に関する特例は、税負担を抑える上で重要なポイントとなります。

ここでは、確定申告とは直接関係しないものの、空き家の管理・活用に影響を及ぼす税制の概要を簡潔に説明し、詳しい情報を得るための参考リンクを提示します。

固定資産税の軽減措置

空き家を所有していると、毎年固定資産税が発生します。しかし、一定の条件を満たせば、住宅用地の特例を適用し、固定資産税の負担を軽減できます。

住宅用地の特例

  • 小規模住宅用地(200㎡以下):固定資産税評価額が6分の1に軽減
  • 一般住宅用地(200㎡超の部分):固定資産税評価額が3分の1に軽減

この特例は、住宅が建っている土地に適用されるため、空き家を取り壊すと適用外となる可能性がある点に注意が必要です。

申請方法

  • 固定資産税の軽減措置は、市区町村の固定資産税担当窓口で申請
  • 空き家を賃貸に出すことで住宅用地の特例を維持することも可能
  • 申請期限は自治体によって異なるため、事前に確認が必要

参考リンク

特定空き家のリスクと確定申告への影響

「特定空き家」に認定されると、固定資産税の優遇措置が受けられなくなり、税負担が増加する可能性があります。

特定空き家の基準

  • 倒壊の危険がある
  • 衛生環境が悪化し、周囲に悪影響を及ぼしている
  • 自治体からの指導に従わない

特定空き家に認定されると…

  • 固定資産税の軽減措置(最大6分の1)が適用外
  • 通常の税額が6倍になる可能性がある
  • 自治体から修繕・撤去の勧告を受ける場合がある

空き家を適切に管理し、特定空き家に認定されないようにすることが重要です。

参考リンク

相続した空き家に関する特例(小規模宅地等の特例)

相続した空き家の土地については、「小規模宅地等の特例」を適用することで、相続税評価額を最大80%減額できます。

適用条件

  • 被相続人が亡くなる直前まで住んでいた家である
  • 相続人がその宅地等を相続または遺贈により取得し、一定の要件を満たすこと
  • 相続税の申告期限(相続開始から10カ月以内)までに申請すること

※「一定の要件」には、相続人が居住用として使用する場合(居住用宅地)、事業用として使用する場合(事業用宅地)、賃貸用として使用する場合(貸付用宅地)など、用途によって異なる条件があります。詳細は国税庁のウェブサイトでご確認ください。

メリット

  • 相続税の課税対象となる評価額が大幅に減額される
  • 例えば、評価額5,000万円の土地が、特例適用後1,000万円に(80%減額)
  • 適用しないと相続税が数百万円単位で増加する可能性がある

申請方法

  • 相続税の申告時に、必要書類を添えて申請
  • 遺産分割協議が成立していることが前提

参考リンク

まとめ

固定資産税や相続に関する税制措置は、確定申告とは別の手続きとなるため、必要に応じて自治体や税務署に相談し、早めに対策を講じましょう。

まとめ:確定申告で空き家の税負担を賢く減らすために

空き家の所有者にとって、確定申告は大きな節税のチャンスです。本記事で解説した特例や控除を活用すれば、数十万円〜数百万円の税負担を軽減できる可能性があります。

本記事のポイント

  • 空き家の譲渡所得3,000万円特別控除を適用すると、売却益の最大3,000万円までが非課税になる
  • リフォーム減税を活用すれば、耐震・バリアフリー・省エネ改修費用の一部を控除できる
  • 賃貸活用時の経費計上と青色申告で、所得税を適切に抑えられる
  • 確定申告の期限(2月16日〜3月15日)を守り、事前準備をすることが重要
  • 申告しないと、大幅な節税機会を逃す可能性がある

次にとるべきアクション

  1. 自分の空き家がどの特例・控除の対象になるか確認する
  2. 1月中に必要書類をリストアップし、準備を始める
  3. e-Taxの利用登録や確定申告書の入手など、申告の準備を進める
  4. 不明点があれば、税務署の相談窓口や税理士に相談する

専門家のサポートを受ける

税制は毎年変更され、適用条件も細かく設定されています。確定申告で最大限の節税を実現するためには、専門家のアドバイスを受けることが効果的です。

空き家の相続や売却、活用でお悩みの方は、不動産の専門家にご相談ください。適切な対策で節税しながら、空き家問題を解決できます。

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